膵炎の愛犬がごはんを食べないことに困り、最終手段として手作りごはんをあげてみたい。と考えている方は多いです。
しかし、ネットで調べてみたものの、膵炎の犬の手作りご飯に関する情報が載っていなかったり、膵臓にいい食材はわかったけどレシピが載っておらず、素人がつくって体調を崩してしまったら怖い…と、毎日食事のことで大きな悩みを抱えていることがほとんどです。
この記事では、飼い主さんが膵炎の愛犬に適したごはんを作れるようになること、自信をもってごはんをあげられるようになることをゴールとし、膵臓ケアのための手作りごはんの作り方をまとめています。
膵炎の愛犬が食べてもいい食べものやレシピ、ちゅーるはあげてもいいのか?などの浮かびやすい疑問もすべてまとめているので、不安なくごはんづくりができるようになります。
つくりかたやレシピは慢性膵炎用として作成したので、膵臓に負担をかけずに、愛犬を全力でサポートするおいしいごはんを作りたい。という方の参考になれば嬉しく思います。
この記事の著者
- ペット栄養管理士
- 犬の管理栄養士
- 上級食育アドバイザー
- 日本ペット栄養学会正会員
- Bowls Fresh Dog Food 開発チーム
- 手作りごはん歴7年
- 食品衛生管理者
くわしいプロフィール
自身と暮らしているチワワがフードを食べなくなったことがきっかけで、手作りごはんに興味を持つ。
日々実感する手づくりご飯の魅力を伝えるべく、犬のごはん作りに関するブログ「チワワごはん」を開設。
ブログ運営の傍ら、犬の食事相談や栄養指導に励み、指導数は100匹以上にのぼる。
現在は、企業とのレシピ開発やコンサルにも力を注いでいる。
ブログ月間1.5万PV以上、インスタグラムのフォロワーは3.6万人ほど。著書「栄養満点なチワワごはんの作り方」
膵炎の愛犬が食べていいもの一覧
膵臓をいたわる食べものは、脂肪の少なさと必須アミノ酸をすべて含んでいること、消化に負担をかけすぎないことが大切です。
飼い主さんが思っているよりも食べられるものは多く、好き嫌いが多い愛犬や食べムラがある愛犬でも食材をコロコロ変えられ、その都度食いつきを刺激することができます。
これからご紹介する食材は、日本食品標準成分表2020年版(八訂)をもとに、膵臓に負担をかけやすい不溶性食物繊維、飽和脂肪酸が少ない食材を選びました。
また、膵臓ケアを全力で行うため、膵炎時にとりたい栄養素や成分(ビタミンA・C・E・D、β-カロテン、亜鉛、セレン、グルタチオン、ビタミンB12、必須アミノ酸、オメガ3脂肪酸、消化酵素)などを含む各食材をまとめています。
お肉類
- 牛肉(もも・ヒレ・かた)
- 豚肉(もも・ヒレ・かた)
- とり肉(むね・ささみ・レバー)
- 馬肉
- 鹿肉
- たまごの白身
- カッテージチーズ
食欲低下により筋肉と体力が落ちやすいため、お肉を食べさせて、筋肉のもとになるたんぱく質を与えることが大切です。
油の少ないお肉は、膵臓の酵素が過剰にはたらかないよう抑えながら栄養素が吸収できるため、膵炎ケアにおおいに役立ちます。
馬肉や鹿肉は、普通のお肉を食べなくなった…というときに混ぜてあげたり、トッピングとして少量のせて、活用している方が多いです。
お魚類
- タラ
- マグロ(赤身)
- いわし
- あさり
- しじみ
- かき
- えび
- かつお
- しらす(生)
- かれい
お魚は、炎症を抑えるはたらきをもつオメガ3脂肪酸が多いため、膵炎の愛犬に積極的にあげたい食材です。膵臓の炎症を抑えることで、症状の緩和や酵素が興奮するのを抑え、再発予防に役立ちます。
膵炎の食事では、多すぎる油は避ける必要がありますが、健康のためにはある程度の油は必要です。お肉から油をとるのではなく、お魚から少量の油をとることで膵臓ケアを行いながら栄養素の不足・偏りを防ぎます。
豆類
- 豆乳
- 豆腐(絹ごし、木綿どちらもOK)
低脂質で風味豊かな豆乳は、ごはんの風味付けとして愛犬のごはんづくりに活躍します。
犬はお肉やお魚を消化吸収する方が得意なので、ごはんのメインにするというよりも、おやつやトッピングなどで取り入れるとよいでしょう。
豆類はメチオニンというアミノ酸が少ないため、豆だけをあげると臓器に負担がかかります。
豆類をあたえるときは、メチオニンを含む白米をいっしょにあげることで、足りないアミノ酸が補充でき、臓器に余計な負担をかけにすみます。
お米類
- 白米、おかゆ
- 玄米のおかゆ
- うどん
- 十割そば
- ビーフンやフォー(お米でできた麺)
- はるさめ(普通春雨はすぐに柔らかくなり、消化に良いためおすすめ)
- マカロニ
基本は白米をよく煮込んだおかゆからはじめ、うんちの状態を確認しながら、ほかの食材もあげてみましょう。
いろいろな栄養素をとってもらうためには、一つの食材に偏らず、なるべくいろいろな食べものを与えることが大切です。
ムリをしていろいろな食べものを取り入れる必要はありませんが、食材のバリエーションを増やすことは愛犬にとって食事の楽しみをさらに増やし、食べムラを防ぐのにも役立つので、ごはんを作り始めて余裕が出てきた方はぜひ取り入れてみてください。
おんなじごはんは飽きるモナ
野菜類
- にんじん
- キャベツ
- むらさきキャベツ
- トマト
- 大根、大根の葉
- かいわれだいこん
- はつかだいこん
- パパイヤ
- 生姜(ごく少量)
- かぼちゃ
- さつまいも
- じゃがいも
- ブロッコリー
- ピーマン
- パプリカ(赤・黄)
- しそ
- きゅうり
- 白菜
- ほうれん草
- 小松菜
- かぶ、かぶの葉
- ちんげんさい
- へちま
- もやし
- レタス
- れんこん
- なす
- からしな
- 水菜
- みつば
- カリフラワー
上記の野菜は、消化器の負担になりにくい野菜で、体内の炎症を抑えるビタミンCや、体内で細胞が傷つくのを防ぎ、さまざまな病気を予防するβ-カロテンやセレンなどがたっぷり含まれています。
また、大根やパパイヤには、臓器といっしょに食べものの消化を手伝う消化酵素が多く含まれています。生であげること大切なので、大根おろしや生のままみじん切りしたパパイヤなどをトッピングすると、臓器をいたわることができます。
きのこ類
- なめこ
- マッシュルーム
- まいたけ
きのこは、がん細胞をやっつける特有の成分が多く含まれており、シニアになると体内に溜まりやすい老廃物やさまざまな病気の原因物質をとりのぞくことが得意です。
上記のきのこは、きのこの中でも繊維がすくないため消化に負担がかからず、安心してあげられます。
海藻類
- めかぶ
- もずく
- わかめ(生)
海藻はミネラルや水溶性食物繊維が多く、ホルモンバランスを整えたり腸内環境をととのえるはたらきがあります。
海藻のなかでも消化によい、めかぶともずくとわかめ(生で売られているもの)は、消化の際に余計な負担をかけずにミネラル補給に役立ちます。
定期的にごはんにとりいれ、からだの老廃物をうんちとして出し、毒素の排出をうながしましょう。
油類
- ひまわり油
- オリーブオイル
- えごま油もしくはあまに油
膵炎だからといって油を制限しすぎると、免疫力の低下やビタミン不足を招いてしまいます。質の良い油を少量足すことを忘れずに行いましょう。
そのほか使える調味料類
- 片栗粉
- 葛粉(くずこ)
- うこん(ターメリック、クルクミンも、うこんです)
- かつおぶし
- 昆布だし
- いわし出汁
- しいたけ出汁
片栗粉や葛粉を使ってとろみをつけることで、舌ですくいやすく、飲み込みやすくなります。固形物に食べづらさを感じやすい老犬や歯がない愛犬におすすめです。
うこんは、犬の体内の炎症を抑え、酸化(老化をはやめてしまう状態のこと)を防ぐことから、膵炎の手作りごはんにおすすめの食材としてカルフォルニアの獣医師により推奨されています。
味気のないごはんでは食べないという愛犬の場合は、いわしやしいたけなどから出汁をとり、ごはんに使って風味をつけて食欲を刺激してみましょう。
かつお節や昆布からとった出汁は脂質を含まず、ミネラルやアミノ酸が少量含まれているため、心も体もよろこぶごはんづくりにピッタリの食材です。
くず粉とは
膵炎の愛犬が食べてはいけないもの
- 油っぽいお肉(豚バラ、牛リブロース、手羽先など)
- 油っぽいお魚(さば、さんま、サーモンなど)
- 洋菓子系のおやつ(クッキー、チーズなど)
- ナッツ
- お肉やお魚のジャーキーなど
油が多すぎる食材や乾燥されている食材は消化に時間がかかり、膵臓の消化酵素を多く出してしまい負担になることがあるため、なるべく与えないよう気をつけましょう。
量や症状によっては、一部食べられるものもあるため、絶対に食べてはいけない。というわけではありません。
Q.ちゅーるはあげてもいいですか?
ちゅーるは水分と栄養素が手軽にとれるよい面もありますが、1本あたり約0.56gと脂質がやや多いため、膵臓ケアのことを考えるのであれば、なるべく控えたいです。
低脂肪食が推奨される慢性膵炎や高脂血症、肥満がみられる場合はあげない方がよいですが、低〜中脂肪食が推奨される急性膵炎であれば、脂質を減らしたごはんにトッピングやおやつに取り入れても、脂肪のとりすぎになる可能性は低いです。
膵炎の愛犬のための手作り食のつくりかた
- 油を制限しすぎない
- 食欲を刺激するため、調理方法や食材の切り方を工夫する
- 消化によいごはん作りをする
- 中たんぱく質・低脂肪・中糖質を目安に
- なるべくこまめに食事を与える
ここからは、膵臓ケアごはんをつくるうえでのポイントをまとめています。
ポイントを踏まえてごはんをつくることで、膵臓の機能低下を防ぎ、膵炎時に不足しやすい栄養素を補いながら、膵臓をサポートするごはんをあげることができます。
食欲が低下している愛犬に「おいしい!」と思ってもらえる方法や、膵炎で気をつけたい合併症の予防方法もまとめているため、膵炎ケアのごはんづくりに必要な情報をすべて知ることができます。
なんとなくでごはんを作ってしまい、愛犬の体調が崩れてしまうということが起きないように、ごはんを作る前に一度目を通しておきましょう。
膵炎の手作り食のポイント1:油を制限しすぎない
油は少ないほうが良いと考え、無脂肪食を作ろうとしてしまう飼い主さんは多いです。
しかし、油は生きていくために毎日必要な栄養素のひとつでもあり、ビタミンにも関わる栄養素のため、決して不足してはいけません。
・免疫力の低下
・皮膚炎や結石などの感染症にかかりやすくなる
・ヒフや毛並みがもろくなり、皮膚炎のような症状がでる
・ビタミンA、E、Dが不足しやすくなる
・ホルモンバランスが崩れやすくなる
・夜盲症や不妊、骨の軟化などを引き起こすことがある
・ケガや出血時に血が止まりにくくなる
油を制限しすぎず、急性膵炎なら低〜中脂肪食。慢性膵炎、慢性急性問わず膵炎+肥満、高脂血症がみられる場合は、低脂肪食を意識し、からだに必要な栄養素を補いながらごはんを作ることが大切です。
急性膵炎と慢性膵炎の油の量について
はっきりと量が決まっているわけではりませんが、急性膵炎や慢性膵炎では油を制限する量にちがいがあります。
油をできるだけ避けたい愛犬
- 急性膵炎(はじめて膵炎と診断された)
- フードでの具体的な脂肪の量は不明
油をできるだけ避けたい理由
膵炎ではない犬に、脂肪が7.9%のフードと脂肪分27.9%のフードを与えた場合、どちらも膵臓の酵素が興奮することはなかったと報告があります。参考:福島健次郎「膵炎の食事管理」東京大学動物医療センター・第2内科(消化器科)
海外でも同様の報告があることと、私が調べた限りでも、高脂肪食が直接膵炎を引き起こしたという報告がないこと、油を制限しすぎても栄養素の偏りや免疫力の低下を引き起こすため、私も福島さん同様、急性膵炎の場合は油を避けすぎないことが大切だと考えています。
油を避けたい愛犬
- 慢性膵炎
- フードでは乾物時の脂肪が20%未満が推奨される
- 慢性・急性膵炎で太り気味
- 20%未満が推奨
- 慢性・急性膵炎で高脂血症もみられる
- 10%未満が推奨
油を避けたい理由
慢性膵炎の犬に低脂肪食に与えることで、食後のおなかの痛みを軽減することが報告されているため、脂肪はなるべく避けたほうがよいです。
また、太り気味や高脂血症がみられる場合はもともと膵臓が興奮しやすいため、同様に低脂肪食が推奨されます。
参考:Penny Watson 「Chronic pancreatitis in dogs.」
福島健次郎「膵炎の食事管理」東京大学動物医療センター・第2内科(消化器科)
この記事では、低脂肪食がすすめられる慢性膵炎時を想定して書いています。
そのため、急性膵炎の愛犬にとっては、油が少ないというときがあります。油不足を防ぐために、記事の後半では急性膵炎のための油が少ないときにでるサインをまとめています。
膵炎の手作り食のポイント2:調理方法や食材の切り方を工夫する
愛犬によって、好みの食感や食材の大きさがあり、同じ食材でも食べたり食べなかったりということがあります。
切り方(みじん切り、一口大、乱切り、すりおろし)
調理方法(蒸す、煮込む、焼く、炊飯器で炊く、茹でて流動食)
工夫(茹でて食べない野菜は生のままあげてみる、お肉の部位を変えてみる、できたてを冷ましてあげてみるなど)
焼いたさつまいもは食べないけど、茹でたら食べるという場合もあるため、食べなかったから苦手なのかも…と決めつけずに、調理方法や切り方を工夫して食欲を刺激していきましょう。
私は茹でてから時間がたったとりむね肉よりも、茹でたてが好きモナ
膵炎の手作り食のポイント3:消化によいごはん作りをする
消化に負担のかかる食べものは膵臓のなかの消化酵素を活発にさせてしまい、膵臓の機能低下や症状の悪化などを招くため、消化によい食材を選んだり、消化に良くする調理方法をえらぶことが大切です。
はじめて手作りご飯をあげる時は、みじん切りした食材とおかゆからはじめてみましょう。
- 玄米(おかゆからはじめ、みじん切りに)
- 白米(おかゆからはじめ、そのまま)
- 麺類(みじん切りまたは細かく折り、表記時間に3分ほど足してゆでる)
- お肉やお魚(みじん切りからはじめる)
- わかめやきのこ(みじん切りにする)
- 消化を助けるため、お水をたっぷり使う
手づくりごはんは消化にいいの?
牛肉とじゃがいも、とりにくと白米などの手作りごはんにサプリメントを加えたアメリカ製品4つの犬の消化率を調べた研究では、どの食品も消化率85%を超え、90%を超える食品もありました。参考:True nutrient and amino acid digestibility of dog foods made with human-grade ingredients using the precision-fed cecectomized rooster assay.
9割近く消化できるということは、臓器にやさしいだけでなく、栄養素をしっかり吸収でき、からだの中で効率的に使えているということです。
みじん切りするとより消化にやさしくなるため、安心してごはんを与えて大丈夫ですよ。
膵炎の手作り食のポイント4:中たんぱく質・低脂肪・中糖質を目安に
- 中たんぱく質:膵臓の細胞の修復を助けるため、筋肉が落ちないようにするため
- 低脂肪:膵臓に負担をかけず必要な脂質とビタミンを補給するため
- 中糖質:慢性膵炎の合併症、糖尿病を防ぐため、エネルギー補給のため
慢性膵炎が進行すると膵臓の機能が低下してしまい、ホルモンの関係で糖尿病になりやすい傾向にあります。
犬の場合、ごはんや麺類などの糖質を多く与えると糖尿病のリスクが高くなるため、糖質が多くなりすぎなように調整することで、膵臓ケアをしながら合併症の予防も行えます。
油っぽい食材を避けて、ごはんや麺類をたくさんあげすぎない。ことが大切です。
膵炎の手作り食のポイント5:なるべくこまめに食事を与える
一度にたくさん食べると消化にたくさんのパワーが必要になり、膵臓の消化酵素がより多く出てしまいます。
それにより食後の腹痛が起きやすくなり、再発リスクも上がってしまいます。
1日分を3〜4回ほどにわけてあげることでおなかの痛みを抑えられ、膵臓の負担も軽減できます。また、こまめに少量ずつ食べることで血糖値も安定しやすいため、糖尿病予防にもつながります。
膵炎の愛犬のための手作り食レシピ
膵炎にいい食材はわかったけど、レシピが載っていないから困っている。レシピを教えてほしい。という方も多いはずと思い、膵臓ケアのためのレシピを作成しました。
脂質は最低限必要な量のみ含むよう作っているため、慢性膵炎や太り気味の愛犬や高脂血症がみられるときも安心して与えることができます。
レシピとべつで好物をあげても大丈夫なように、カロリーは必要量の70〜80%に設定しています。
比較的油の制限がゆるめの急性膵炎は、以下のレシピ通りにあげると油が不足することがあります。毛並みがパサついてきた、フケがでてきた、皮膚炎のような症状がでてきた、肉球が冷えている、うんちがかたくてスルッと出てこない、便秘などがみられたときは、油が足りていないサインです。油を1gずつ増やしてみて、様子をみていきましょう。
まずはこれから:ささみとにんじんおかゆ
- ささみ 20g
- にんじん 20g
- 白菜 20g
- 炊いた白米 20g
- さつまいも 20g
- オリーブオイル 1.5g
- お水 材料がつかるくらい
- 材料をすべてみじん切りにし、お鍋にいれる
- お水をいれて、弱火で15〜20分ほど煮込む
- お水が足りなくなってきたらその都度お水をいれる
- 白米がトロトロになってきたら、オリーブオイルをかけてできあがり
消化のよさが特徴のレシピです。
自然な甘みとささみからでる出汁で食欲を刺激します。
たまごの白身ごはん
- たまごの白身 30g(だいたい卵一つ分)
- 炊いた白米 30g
- ブロッコリー 20g
- まいたけ 20g
- ひまわり油 1g
- お水 材料がつかるくらい
- たまごを割り、黄身と白身をわける
- お鍋にお水とみじん切りしたブロッコリーとまいたけ、白米をいれ、弱火で3〜5分ほど煮込む
- 強火にし、沸騰したら白身をいれて火を止める
- おはしでかるく混ぜて、予熱で白身が白くなるのをまつ
- ひまわり油をかけたらできあがり
膵炎だからといって油を避けすぎず、からだによい油を少量あたえることが大切です。
牛もも肉うどん
- 牛モモ肉 30g
- レタス 15g
- すりおろした生姜 0.5g
- わかめ 1g
- 茹でた冷凍うどん 30g
- 皮をむいたりんご 20g
- お水 材料がつかるくらい
- 牛もも、レタス、うどん、りんごを一口大に切る
- わかめはみじん切りにする
- お鍋にお水とりんご以外の材料をいれて、弱火で5〜7分煮込む
- 盛り付けて、りんごをうえにトッピングしたら完成
お米に飽きたときにあげてほしいレシピです。
うどんに表記されている時間+2〜3分ほど煮込むとより柔らかくなり、消化によくなります。
たら玄米ごはん
- 玄米 30g
- しそ 1g
- だいこんの葉 10g
- だいこん 10g
- ミニトマト 20g(2つくらい)
- ほうれん草 15g
- たら 20g
- えごま油 1.5g
- お水 材料がつかるくらい
- 材料をすべてみじん切りまたは一口大に切る(玄米もみじん切りすると消化によくなります)
- えごま油以外の材料をお鍋にいれ、弱火で10分ほど煮込む
- 盛り付けて、あら熱がとれたらえごま油をかけて完成
おかゆに食べ慣れてきたらあげたいレシピです。
胃腸は休ませすぎると機能が低下してしまうので、玄米で胃腸を動かし、栄養素をしっかりとりいれるチカラをきたえることが大切です。
まぐろ丼
- まぐろ 30g
- 炊いた白米 30g
- むらさきキャベツ 10g
- かいわれだいこん 1g
- りんご酢 1g
- えごま油 1g
- むらさきキャベツとかいわれだいこんをみじん切りに切る
- 炊いた白米にリンゴ酢、むらさきキャベツ、かいわれだいこんをいれて混ぜる
- 一口大に切ったまぐろを酢飯のうえにのせて、えごま油をかけたら完成
普段のごはんを食べないときの変わり種におすすめのレシピです。
熱で壊れてしまうビタミンをまるごとあげられる栄養価の高さも魅力。
じゃがいもとカリフラワーのホットサラダ
- じゃがいも 70g
- カリフラワー 30g
- カッテージチーズ 30g
- カリフラワーと皮を向いたじゃがいもをみじん切りまたは一口大に切る
- お鍋に材料がつかるくらいのお水とカリフラワーとじゃがいもをいれて5〜7分ほど茹でる
- どちらもお箸で刺せるほど柔らかくなったら水を切る
- カッテージチーズとかるく混ぜたらできあがり
食欲がないときにあげたい一品です。
カッテージチーズは急性膵炎の回復食としてもあげられるほど脂質が低く、消化に良いところが魅力です。
かつおチャーハン
- 炊いた白米 30g
- なす 20g
- 赤ピーマン(パプリカ) 20g
- 黄色ピーマン(パプリカ) 20g
- マッシュルーム 20g
- かつお 20g
- オリーブオイル 1g
- 食材をすべてみじん切り、または一口大に切る
- フライパンにオリーブオイルをたらし、白米とかつお以外の材料をいれる
- 中火で4分ほど炒める
- マッシュルームを食べてみて、火が通っていたら白米とかつおをいれる
- 弱火で1分ほど炒めて、全体が混ざったら完成
食欲はあるみたいだけど、ごはんに飽きているかも…と思ったときにあげたいレシピです。チャーハンは食べてくれる確率がグンとあがります。
とろとろしらすそば
- 日本そば 30g
- かぶの葉 20g
- かぶ 20g
- なめこ 20g
- めかぶ 10g
- しらす 20g
- お水 材料がひたるくらい
- かぶと葉、なめこ、めかぶをみじん切りまたは一口大に切る
- お鍋にかぶと葉、なめこ、めかぶ、しらす、お水をいれる
- 強火にかけて沸騰したら4等分に折った日本そばをいれ、弱火にする
- そばの袋に書かれているゆで時間+3分ほど長く茹でる
- そばを食べてみてやわらかくなっていたら盛り付けて完成
しらすの出汁が食欲をそそる一品。
そばを茹でた汁もいっしょにあげることで、そばから漏れ出たビタミンをたっぷりあげることができます。
かきのスープカレーパスタ
- かき 20g
- うこん粉末 0.3g
- かぼちゃ 20g
- にんじん 20g
- ピーマン 20g
- マカロニ 15g
- あまに油 1g
- お水 材料がつかるくらい
- かきをみじん切りにする
- かぼちゃ、にんじん、ピーマンはみじん切りまたは一口大に切る
- お鍋に切った材料とマカロニ、お水をいれ、強火にかける
- 沸騰したら火を弱めて、マカロニに書かれているゆで時間+3分ほど長く茹でる
- 火を止めてうこんの粉末をいれてかるく混ぜる
- 盛り付けてあらねつが取れたら、あまに油をかけて完成
犬に牡蠣…?と思うかもしれませんが、じつは膵炎ケアにピッタリな栄養素が多く含まれているため、意識してあげたい貝類です。
こんな手も!調理の工夫
- 食材に火が通ったら、片栗粉やくず粉を水にとかし、お鍋にいれてかるく混ぜ、とろみを付ける
- レシピにかつお節や昆布出汁をいれて、風味をよくする
- ハンドブレンダーでドロドロにして流動食にしてみる
- 茹でて食べないときは、蒸したり焼いたり、炊飯器にいれて炊いてみる
出汁が入っていると美味しさがアップするモナ
よくある質問
記事内では解決できなかったお悩みをまとめています。そのほかわからないことや聞きたいことがあれば、コメント欄にてお聞かせください。
カロリーが70〜80%だと1日に必要なカロリーが補えないのでは?
膵炎の愛犬を支える飼い主さんの話を聞いていると、「焼いたさつまいもをごはんとは別でちょこちょこあげています」「炊きたての白米が大好きなので、お米が炊けたときには少しだけあげています」と、ごはんとはべつで愛犬の好物をあげていることが多いとわかりました。
そのことから、きっちり必要なカロリーのレシピをつくると、愛犬の幸せを減らしてしまうのではと思い、上記のようなカロリー設定をしています。
また、カロリーは満ち足りているよりも腹八分目の方が長生きしやすい傾向にあるため、そこまでカロリーが足りない!と不安にならなくても大丈夫ですよ。
カロリー計算したほうがいいですか?
計算した方が安心するという方はしてもよいと思いますが、かならず計算する必要はありません。
この記事でカロリーを記載しているのは、ごはんを作る上で、食材の量はこのくらいという感覚を掴んでもらいやすいと思ったからです。
カロリーは目安でしかなく、犬の体質や体調、闘病時によりカロリーや栄養素の吸収率が大きく変わるため、毎回計算してピッタリのカロリーを届けるのは現実的ではありません。
数字よりも目の前の愛犬の様子をみることの方がカンタンで大切なので、レシピを参考にしながら作ってみて、うんちやおしっこ、体重などをみながら調整してみてください。
膵炎のときにあげられるおやつを教えて下さい
膵炎でも食べられるおやつはたくさんあります。フルーツは油をほとんど含まない(100g中1g以下)ため、安心してあげられます。
- くり
- ぼーろ
- あんこ
- 無脂肪ヨーグルト
- フルーツ全般(バナナ、りんご、みかん、キウイ、ブルーベリーなど)
- パイン、パインの芯(消化酵素で膵臓の負担を減らす)
- カモミール茶(膵臓を含む消化器の炎症をおさえてケアする)
- うこんを水に溶かしたもの(酸化を防ぐ成分を増やしながら炎症を抑える)
そのほか、生の野菜もあげられるので、いろいろあげてみて、愛犬がどんな食べものなら食べるか探っていきましょう。
鹿肉をあげてもいいですか?
脂身が少なく赤身が多いお肉のため、あげても大丈夫です。
獣医師に相談したほうがいいですか?
できればごはんを作る前に獣医師に相談しましょう。
病院から出された療法食を食べなかったことや、フードをいろいろ工夫してあげてみたけどどうしても食べなかったことなどを伝え、手づくりなら食べるかもしれないからあげてみたい。と伝えてみましょう。
油っぽい食材を避けながら必要な栄養素がとれるように工夫する。と伝え、血液検査や定期検診のときに、いまこんなごはんをあげている。と伝えると、獣医師も食事内容を把握でき、お互いに安心できます。
さいごに:手作りごはんで膵炎の愛犬をサポートしよう!
あまり栄養学のことを知らない飼い主さんでも、コツを抑えるだけで膵臓に負担をかけないごはんをつくることができます。
油っぽい食材を避けること、消化によい食材を選ぶことなどいくつかポイントがあり、はじめは難しいと感じることがあるかもしれませんが、慣れていくとスムーズにごはんを作れるようになります。
記事を読んだ飼い主さんのなかには、料理がニガテだったり、飼い主さんの生活リズムなどから、自分には難しそうと感じる方もいると思います。
そんな方の役に立つのでは、と感じた膵炎ケア用の手作りごはんを見つけたので、そちらを購入し、愛犬と食べてみました。以下に、使われている食材や食いつきをチェックした結果、購入してみてわかったことをまとめています。
気になる方はこちらも見てみてはいかがでしょうか。
>>膵炎の愛犬用手づくりごはん「タミーレシピ」をあげてみた感想
参考文献
一般社団法人日本ペット栄養学会編(2014)「ペット栄養管理学テキストブック」アドスリー社.
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