愛犬の腸の状態は、私たちの目でみることができません。
飼い主が気づかないうちに、愛犬の腸内が有害物質でいっぱい。なんてこともあり得ます。
愛犬の腸内環境が悪くなると、お通じが悪く、うんちやおならがくさくなります。
また、愛犬の抵抗力が弱く、病気になりやすくなったり、アレルギー疾患、口臭がある愛犬は、腸内環境がわるいのかもしれません。
乳酸菌は愛犬にどんな効果をもらすのか、腸内環境が悪いと当てはまる愛犬の腸内環境チェックシートなどを使って、愛犬と乳酸菌について解説しています。
愛犬の下痢にはどんな乳酸菌がいいの?、愛犬の免疫力をあげるためのおすすめの乳酸菌ってどれ?という方は、愛犬に合った乳酸菌がわかるので、ぜひ読んでみてください。
この記事の著者
- ペット栄養管理士
- 犬の管理栄養士
- 上級食育アドバイザー
- 日本ペット栄養学会正会員
- Bowls Fresh Dog Food 開発チーム
- 手作りごはん歴7年
- 食品衛生管理者
くわしいプロフィール
自身と暮らしているチワワがフードを食べなくなったことがきっかけで、手作りごはんに興味を持つ。
日々実感する手づくりご飯の魅力を伝えるべく、犬のごはん作りに関するブログ「チワワごはん」を開設。
ブログ運営の傍ら、犬の食事相談や栄養指導に励み、指導数は100匹以上にのぼる。
現在は、企業とのレシピ開発やコンサルにも力を注いでいる。
ブログ月間1.5万PV以上、インスタグラムのフォロワーは3.6万人ほど。著書「栄養満点なチワワごはんの作り方」
乳酸菌は、愛犬の健康維持・病気予防のために必要!
乳酸菌は栄養素ではないので、愛犬が必ず摂るべき、というわけではありません。
ですが、乳酸菌は腸内環境をととのえる役割があるので、愛犬を健やかに元気に生きていくためのサポートをします。
乳酸菌は、手作りごはんをしている犬でも摂りづらいので、飼い主さんが意識して愛犬に摂らせてあげる必要があります。
まずは、愛犬の腸内環境が整っているか、乳酸菌が足りているかをチェックしてみましょう。
うちの子大丈夫?愛犬の腸内環境チェック
- 口臭があり・唾液がネバネバしている
- 下痢・便秘ぎみ
- お肉ばかり食べて、野菜や果物を食べない
- おならやうんちが臭い
- あまりお散歩にいけず、運動不足
- 抵抗力が弱く、病気にかかりやすい気がする
- 頻繁に発酵食品を食べていない
- うんちが黒く、コロコロとしていて、乾燥気味
これらの項目に2つ以上当てはまるあれば、愛犬の腸内環境はあまり良好ではありません。
我が家の愛犬、モナさんは3つ当てはまりました。
愛犬の腸内に乳酸菌が足りていないことで腸内環境が悪くなる
愛犬の腸内環境が悪い原因は、腸内に乳酸菌(善玉菌)が足りておらず、悪玉菌が多いのが原因です。
愛犬の腸内に乳酸菌が足りていない場合、悪玉菌の比率が多くなるため、愛犬の腸内が悪玉菌がうみだす毒素(発がん物質や有害物資、毒性物質、アレルギー原因物質)でいっぱいになってしまいます。
愛犬の腸内で悪玉菌が多い状態が続くと、腸内細菌や消化器官の機能が低下してしまい、愛犬の免疫細胞のはたらきも劣ってしまいます。
そのため免疫力がさがり、病気になりやすい体を作ってしまいます。
毒素がたまることで、結膜炎や鼻炎、外耳炎、口内炎、皮膚炎などの炎症を引き起こし、アレルギーとして症状がでることもあります。
それだけでなく、腸内の悪玉菌が吐き出すガスのせいで、愛犬の口臭や体臭を引き起こすこともあります。
1978年ごろに、血便・下痢、嘔吐をともなう犬のパルボウィルス感染症が発見されました。
当時、死亡率100%と言われていたパルボウィルスに感染した100頭近い犬の診療にあたった獣医師によると、激しい症状のなか回復した犬は、腸が元気だった犬で、腸が丈夫でない犬は、ほとんどが助からなかったそうです。
愛犬における生きている乳酸菌と死滅した乳酸菌の効果のちがい
乳酸菌はとても繊細で、温度や湿度、ph(アルカリ性や酸性など)によって、死滅してしまうことがあります。
犬は人間よりも胃酸が強いため、人間の腸まで届く乳酸菌でも、愛犬の胃で死滅してしまうことがほとんどです。
死滅した乳酸菌、生きている乳酸菌、どちらも違った効果があり、どの乳酸菌が効果的かは、愛犬によって異なります。
2つの乳酸菌が愛犬にもたらす効果の違いと、それぞれの乳酸菌の摂り方をみていきましょう。
愛犬が生きている乳酸菌をとると免疫力アップ!便通の改善&口臭予防も!
生きている乳酸菌を愛犬に摂らせてあげると、発がん物質を発生させる悪玉菌を減らすことがわかっています。
愛犬の腸内の悪玉菌が減り、善玉菌が増えることで、腸内環境がととのい、免疫力があがるため、愛犬の病気の改善や病気を寄せ付けない体づくりができます。
そのほか、悪臭のもとである口腔細菌をへらし口内環境をキレイにするため、愛犬の口臭を軽減することや歯周病の予防につながります。
また、生きている乳酸菌は愛犬の下痢を改善することもわかっています。
生きている乳酸菌はこんな愛犬に効果的
- 口内環境がよくなく、口臭がする犬
- 普段から下痢や便秘ぎみでお腹がよわい犬
- 病気がちで、よく病院に行っている犬
- 免疫力が低く、皮膚炎や風邪など感染症をよく引き起こす犬
愛犬に生きた乳酸菌の効果を得るためには、乳酸菌サプリがおすすめ!
愛犬の腸まで生きる乳酸菌は、今のところサプリメントにしか含まれておらず、市販のヨーグルトや乳酸菌飲料などからは補えません。
乳酸菌サプリは以外と価格が低く、半年分(120粒)が2000円ほどと、お手頃な価格で買えるものばかりです。
きちんと愛犬の腸を元気にして、腸内環境をさっぱりキレイにしたい!という方は、乳酸菌サプリから乳酸菌を摂りましょう。
生きていない乳酸菌は愛犬の炎症を抑えながら悪玉菌を除去
愛犬が生きていない乳酸菌をとっても全く意味がない、というわけではありません。
愛犬の胃酸により活性を失ってしまった乳酸菌は、愛犬の腸内で炎症を起こす細胞をやっつける効果があるため、愛犬の体にでている炎症を抑えるはたらきがあります。
死滅した乳酸菌には、悪玉菌をうんちにくっつける役割があるので、悪臭のもととなる物質や、発がん物質をとりのぞき、腸内環境をキレイにするお手伝いをする働きもあります。
活性を失った乳酸菌はこんな愛犬に効果的
- うんちやおならが臭う犬
- 急性突発性下痢がちな犬
- 炎症生腸疾患(IBD)や慢性腸炎を患っている犬
- 発酵食品を全く食べていない犬
生きていない乳酸菌を摂るためには、市販の無糖ヨーグルトがGOOD!
きちんと愛犬の腸内をキレイにするためには、やはり生きている乳酸菌を摂らせてあげる方が有効です。
ですが、何も与えないよりは、愛犬に発酵食品をあげた方が、愛犬の腸をいたわることができます。
愛犬の腸内環境を手軽に現状より改善したい!という方は、市販の無糖ヨーグルトから乳酸菌を摂らせてあげましょう。
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▶︎愛犬にヨーグルトをあげよう!1日の量や効果、愛犬にオススメのヨーグルトとレシピ例
愛犬と乳酸菌Q&A
愛犬と乳酸菌について、よくある質問をまとめました。
市販の乳酸菌飲料をあげてもいいのか、あげる場合にはどのくらいの量がいいのか、などの解説です。
Q.愛犬の食糞って乳酸菌が足りていないからでしょうか?
犬の食糞は、さまざまな原因がからんでいるので、乳酸菌だけのせいとは限りません。
愛犬の食糞は、ストレスやうんちへの好奇心、いたずら、ごはんの与えすぎ、または消化不良など、いろいろな原因が考えられます。
消化不良が原因の食糞には、腸内細菌の消化を助ける乳酸菌を与えることと、消化にいいごはんに変えてあげると食糞がおさまります。
Q.愛犬に1日どのくらいの量の乳酸菌を摂らせたらいいですか?
犬が1日のうちにどれくらいの量の乳酸菌をとったら免疫力があがるのかは、まだわかっていません。
愛犬の様子をみながら、多すぎない量を与えることが大切です。
Q.愛犬が乳酸菌を摂りすぎるとどうなりますか?
犬が1日で、どのくらいの量の乳酸菌を摂ったら副作用が出るのかは、まだわかっていません。
ただ、乳酸菌はうんちとして出てくるようになっていて、体にたまる性質ではないので、愛犬が乳酸菌を摂りすぎるということはほとんどありません。
飲みすぎても、足りなさすぎても体によくなく、1日を通して排泄される、お水に似ています。
Q.愛犬にいつ乳酸菌をあげたらいいの?
愛犬に乳酸菌をあげる有効なタイミングは、特に決まっていません。
愛犬のごはんのトッピングや、おやつ、歯磨きのご褒美など、飼い主さんがあげやすい時にあげましょう。
参考文献
. 2019 Jun;36(2):135-142.
『Effects of Weissella cibaria CMU on Halitosis and Calculus, Plaque, and Gingivitis Indices in Beagles』J Vet Dent『炎症性腸疾患のイヌにおける糞便微生物叢移植後の臨床症状および糞便微生物叢の改善』Vet Med (Auckl). 2019 Dec 2;10:197-201.
犬パルボウイルス感染症 感染症 犬の病気 JBVP – 日本臨床獣医学フォーラム
後藤利夫著(2016)『ーヨーグルトで健康革命ーあなたの知らない乳酸菌力』小学館.
宮野のり子著(2009)『ペットの心と体にやさしい自然療法のすすめー犬・猫の目線で病気を治す!ー』メタモル社.
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