子犬を無事迎えたあと、なにをしたらいいんだろう…と不安になる方が多いはず。必要な手続きには期限が設けられており、子犬を迎えてすぐに手続きが必要なものもあります。
この記事では、市役所への登録やワクチン接種の予約などの子犬を迎えたらやるべきことを時系列ですべてまとめています。
子犬を迎えたあとの手続きをすべて理解でき、いまなにができるのか、つぎは何をするのかなどがカンタンに把握することができます。
手続きだけでなく、これから子犬と暮らしてく上で知っておきたいこともまとめていますので、はじめて子犬を迎えた人はぜひさいごまでみてみてください。
子犬を迎えたらやること
- 体調を崩している場合は動物病院への受診
- 混合ワクチン接種
- 犬の登録申請
- 狂犬病ワクチン接種
やるべきことの時期が早い順番に説明していきます。
法律で決められているものは期限に間に合わない場合、罰金などもあるため、いまのうちに確認しておきましょう。
3と4を同時に行う方法もまとめているので、忙しい飼い主さんやパパっと済ませたい方はチェックしてみてください。
1.体調を崩している場合は動物病院へ
お迎え当日から1週間は下痢や嘔吐がみられることがあります。だいたいは病気によるものではなく、ストレスや環境の変化によるもののため、時間とともに治っていくことがほとんどです。
しかし、なかにはお迎え前に感染症にかかっており、お迎え時のストレスで免疫力が下がり、発症というケースもあります。
とくに咳をともなう下痢や嘔吐は感染症の症状のひとつのため、咳が見られたらなるべくはやく動物病院へ連れて行くことが大切です。
体調不良時のはじめての動物病院受診 | |
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必要なもの | 症状がわかるもの 咳をしているときの動画や下痢をビニール袋に包んだもの |
費用 | およそ2,000〜5,000円 1万円あれば安心 |
咳について
犬の咳は人間のようにコホン!くしゅん!ではないため、咳だと気づきにくいです。
声が変だと感じたり、吐きたそうにみえる、呼吸がしずらそうと感じた時は咳をしている事があるため、犬の咳についてあらかじめ理解しておきましょう。
2.混合ワクチン接種
混合ワクチンは、子犬がかかりやすいいくつかの感染症を防ぐための予防接種です。
波のようにムラがある子犬の免疫力が落ちるタイミングに合わせて3〜4回継続して接種することで予防できるため、接種時期をしっかり守ることが大切です。
\子犬の混合ワクチンの流れ/
はじめての混合ワクチンはもとの飼い主さんのもとで接種し終わっているため、もとの飼い主さんから渡されたワクチン接種証明書の日付をもとに2回目の接種予約をいれましょう。
接種後、体質によっては体調を崩すことがあるため、午前中に予約をいれると安心して接種当日を過ごせます。
2回目の混合ワクチン接種 | |
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接種対象 | 生後3ヶ月ほどの子犬 |
接種期間 | はじめてのワクチン接種から4週間後 くわしい日にちは初回のワクチン接種証明書に記載されている |
必要なもの | 1回目のワクチン接種証明書 もとの飼い主さんからもらえます |
接種費用 | 5,000〜10,000円 病院によって価格差あり |
接種場所 | 動物病院 |
内容 | 子犬がかかりやすい数種の感染症の予防接種 |
子犬の同伴 | 必要 |
接種しなかったら | 任意のため法的罰則はなし 感染症リスクのアップ |
もとの飼い主さんからもらうワクチン証明書
2回目の接種日は、なるべく記載されている日付に予約をいれましょう。遅れてしまうと予防接種の効果が減ってしまい、感染症のリスクが上がるだけでなく、追加で接種が必要になったりと子犬の体に負担をかけてしまいます。
ただ、子犬が接種日目前に体調を崩している時は、体調の回復を優先にした方がよいです。その際は動物病院に相談し、なるべく接種日1週間前後に接種するようにしましょう。
2回目の接種が終わったら証明書がもらえる
上記の写真のような証明書がもらえます。3回目の接種日特定に使うため、なくさないよう保管しておきましょう。
3回目以降について
3回目も2回目同様接種日を確認して予約します。だいたいの病院は3回目で混合ワクチン打ち終わりとなります。3回打ち終わったら、翌年から年1回の接種が推奨されています。
3.犬の登録
飼い主さんが住んでいる市町村に、犬の毛色や犬種などを書いた申請書を提出することで犬の登録が完了します。
万が一、国内で狂犬病が発生したときの状況をいち早く把握するため、法律で義務付けられています。
はじめての犬の登録申請 | |
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登録回数 | 生涯に1回 |
登録対象 | 新しく犬を迎える・迎えたすべての飼い主 |
登録期間 | 生後90日を過ぎたら(生後120日までに) または 生後90日以上の犬の場合、迎えてから30日以内 |
必要なもの | 登録申請書 |
登録費用 | 3,000円ほど |
提出先 | 保健所 市町村によっては動物病院でも提出可能 |
内容 | 飼い主さんの連絡先、犬の毛色や犬種など マイクロチップ装着済みの場合は番号も |
子犬の同伴 | 不要 |
登録しなかったら | 狂犬病予防法違反により20万以下の罰金 |
登録申請書は、各市町村の保健所の公式サイトにて用意されています。ウェブから登録申請書をダウンロードし、印刷することであらかじめ書いておくこともできます。
保健所に行き、その場で書くこともできます。その際は、マイクロチップの番号や生年月日を正確に答えられるよう、子犬の情報を持っていきましょう。
「市町村名 犬 登録」と検索すると市町村ごとの詳細がでてくるので、期間内にスムーズに申請できるよう確認しておきましょう。
例.沖縄の登録申請書
登録後は犬の鑑札(かんさつ)がもらえ、毎年狂犬病ワクチンのお知らせが届くようになる
登録したその場で鑑札と呼ばれるものがもらえます。鑑札は首輪につけることが義務づけられており、狂犬病発生時や迷子時などは、この番号をもとに犬の識別を行います。
登録後は、市町村から毎年3月下旬に狂犬病ワクチン接種のハガキが届くようになります。ハガキが届くようになるのは、はじめての狂犬病ワクチン接種から翌年のためハガキについての説明はのちほど行います。
4.狂犬病ワクチン接種
狂犬病ワクチンは、日本での狂犬病の感染拡大を防ぐため、法律で接種が義務付けられています。
犬から人へうつる共通感染症のひとつで、致死率約100%、予防方法はワクチン接種のみという恐ろしい感染症です。
日本国内での発生は1970年以降ありませんが、これからも国内の安全を保つのはもちろん、飼い主さんや子犬の命を守るためにも接種が必要です。
はじめての狂犬病ワクチン | |
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接種回数 | 年1回 |
接種対象 | 狂犬病ワクチン未接種の生後90日以上の子犬 |
必要なもの | とくになし 犬の手帳等があれば持参する |
接種期間 | 生後91日から120日までに |
費用 | 注射代 約3,000円 接種済み票交付代 550円 |
接種場所 | 狂犬病ワクチン接種を受け付けている動物病院 |
子犬の同伴 | 必要 |
接種しなかったら | 狂犬病予防法違反により20万以下の罰金 |
ごくまれに、狂犬病ワクチンの接種を行っていない動物病院があります。ウェブサイトや電話等で事前に確認しておくとスムーズにワクチン接種を行うことができます。
登録と狂犬病ワクチン接種を同時に行う方法
混合ワクチンを打った病院に電話し、同時に行うことが可能か聞いてみましょう。
狂犬病ワクチン接種時に登録料3,000円を追加で支払うことで登録が行え、保健所に行く手間が省けます。
狂犬病ワクチン接種後は注射済みの札がもらえる
狂犬病ワクチンの接種証明として、狂犬病予防注射済票交付票と接種年度と地域、接種した際の番号が書かれた金属の札がもらえます。
鑑札といっしょに首輪につけることが義務付けられており、狂犬病発生時の接種確認などで使われます。
ドッグランやトリミングサロン利用で提出をお願いされることがあるため、こちらもなくさずに保管しておきましょう。
はじめての狂犬病ワクチン接種後
次回接種時期は、翌年の4月〜6月あたり(国が定めた狂犬病ワクチン接種期間)となります。
登録した市町村から3月下旬に狂犬病ワクチン接種の案内ハガキ・封筒が届きます。各都道府県内でワクチン接種できる動物病院一覧や集団接種の日時・場所などの案内が書かれています。
ハガキ自体が接種券となっているため、そのまま接種場所に持っていくと、本人確認からワクチン接種、注射済み交付票の受け取りまでがスムーズに行なえます。
はじめての狂犬病ワクチン後、ハガキを持参することで集団接種に参加できるようになります。
集団接種とは
大きな公園や市役所などを接種場所とし、たくさんの犬たちが屋外でワクチンを打つ接種方法です。診察料等がかからず、ほかの犬とのコミニュケーションがとれる機会でもあるため、積極的に参加することをおすすめします。
子犬を迎えてからやるべきことまとめ
子犬を迎えてすぐにやるべきことは意外と少なく、手続きもカンタンなものが多いです。子犬と安心して暮らせるようパパっと終わらせましょう。
これから子犬と幸せに暮らすために知っておきたい6つのこと
生後4ヶ月を過ぎたときに必要になることや、1歳になるまでに決めておきたいことを時系列でまとめています。
いますぐに必要な事項ではありませんが、いまのうちに確認しておくことで余裕をもって準備をすることができます。
幸せに暮らしていくために知っておきたいことも載せていますので、子犬との毎日を明るいものにしていくためにも、ついでにチェックしておきましょう。
フィラリア予防
3回目の混合ワクチン接種終了後(生後4ヶ月ごろ)、お散歩に行けるようになったら必要になるのがフィラリア症の予防です。
フィラリア症とは、蚊の体内で成長するミクロフィラリアという寄生虫が原因の病気の一つです。感染から1年ほどかけて徐々に体内で成長し、成虫は心臓や肺にとどまり、幼虫を産むようになります。
咳や呼吸困難などを引き起こし、重度ものは成虫を取り除く手術により亡くなってしまうこともあるため、あらかじめ予防することが大切です。
フィラリア症は、月に一回お薬を飲ませることで予防できます。感染予防率は100%近く、毎月のませることでフィラリア症をほぼカンペキに予防できます。
3回目の混合ワクチン接種のときに病院から購入しておくと、安心してお散歩できます。
ノミダニ予防
ノミやマダニは家のほこりが多い場所や草むらなどに生息しており、地面に近い犬はお散歩のときなどに寄生されやすいです。
ノミやマダニに噛まれた部分にかゆみがでたり、なかにはアレルギー性の皮膚炎を引き起こすことがあります。あらゆる感染症の媒体主となるため、感染症予防のためにもノミダニ予防が大切です。
ノミダニ予防はフィラリア予防と同じように、月に1回のお薬投与や外出後ののみとりクシなどの活用が効果的です。
フィラリア予防同様、3回目の混合ワクチン接種のときに病院から購入しておくと、安心してお散歩できます。
しつけ
生後4ヶ月までは警戒心よりも好奇心の方が大きいため、新しい刺激をどんどん受け入れ、なんでも怖がらずに挑戦し学んでいく時期です。
生後4ヶ月をすぎると警戒心が強くなっていくため、生後4ヶ月までに適切なしつけを行い、ほかの犬や人に慣れさせること(社会化といいます)で無駄吠えや攻撃的な言動等のトラブルが圧倒的に少なくなります。
成犬になってもしつけはできますが、子犬のときから習慣づいている行動を変えようとすることは私の経験上、なかなか難しいです。
子犬にトラウマや恐怖を与えて心を閉ざしてしまわないよう、正しい順番・子犬を思いやった方法でつける事が大切です。
トイレのしつけはお迎え当日から教えられます。そのほかのしつけは適齢期があるため、子犬の負担にならないタイミングで教えましょう。
避妊・去勢手術
犬の避妊・去勢手術は、老化により発症率が高くなる各生殖器系の病気を防ぐために、子犬を産む予定がない犬の子宮と精巣をあらかじめ取り除く手術です。
生後6〜10ヶ月までに各生殖器を摘出することで以下の病気を防ぐことができます。
- 子宮蓄膿症(子宮に膿がたまる病気)
- 乳腺腫瘍(おなかの部分に良性のがんまたは悪性のがんができる病気)
- 前立腺肥大(生殖器が大きくなり、排便がしにくくなる病気)
- 精巣腫瘍(精巣にがんができる病気。ほかの生殖器系の病気の発生率を高めてしまう)
デメリットはホルモンの関係で代謝が下がり太りやすくなります。また、脱毛や皮膚炎、性格の変化(激しくなった・おとなしくなったなど)が見られることもあります。
摘出は義務ではなく、任意のためかならず行う必要はありません。私は病気予防で臓器を摘出することに違和感を覚え、摘出しませんでしたが7歳に子宮蓄膿症になったため子宮を摘出しました。
メリットとデメリットを比較し、飼い主さんが納得のいく選択をすることが大切です。
はじめての発情がくる前(生後6〜10ヶ月)に摘出することで、生殖器系の病気予防を高い確率で予防できます。
犬には人間と同じように個性と性格がある
7年チワワと暮らしているなかでわかったことですが、私たちがひとりひとり性格や好きな食べものなどがちがうように、犬も同じように個性があり、考え方もちがいます。
たとえば、ほかの犬とじゃれ合うことが好きな犬や一人遊びが好きな犬、いっしょに遊ぶよりも飼い主さんに抱っこされる方が好きな犬など。
私の愛犬は、だいたいの犬がよろこぶドッグラン(犬たちが自由にいっしょに遊べる場)やドッグカフェ(犬といっしょに入れるカフェ)、グイグイくるタイプの犬がニガテです。
犬だからとひとくくりに考えるのではなく、世界に一匹の存在と考えるとよりステキな毎日を送ることができます。
みんなよく行くモナ…
子犬のボディーランゲージをみるとだいたいの気持ちがわかる
私達人間は、うれしい事があったら笑顔になり、悲しいことがあったら眉毛が下がりうつむきます。犬の場合は、気持ちによって耳やしっぽ、体勢などが変化します。
日本盲導犬協会:盲導犬訓練士養成テキスト
犬特有のボディーランゲージを理解しておくと、子犬がいまどんな気持ちなのかをある程度知ることができます。
上記しぐさのほか、いっしょに暮らしていくとわかる愛犬のボディーランゲージもあります。
しぐさだけでなく表情に現れることも多く、注目するとすこしずつ考えていることがわかるようになってきます。
ボディーランゲージをもとにしながら子犬の表情をよくみて、子犬の良き理解者になれるよう心がけましょう。
さいごに:手続きを終えたら思いっきり遊ぼう!
手続きが終わる時期は、混合ワクチン接種や狂犬病ワクチン接種が終わり、できることが一気に増えます。
子犬の頃の経験の多さは、知らない人や犬にも平等にやさしくできるフレンドリーさや、少しのことでは動じない頼もしさなどの要素を、もとの性格にプラスして育てることができます。
愛犬の様子をみながらいろいろな場所に連れていき、たくさんの経験をさせ、体だけでなく心の成長も行いましょう!
参考文献
全国動物保健看護系大学協会編(2014)「動物看護学教育標準カリキュラム準拠 専門基礎分野 動物行動学」
公共財団法人 動物臨床医学研究所(2012)「イヌ・ネコ 家庭動物の医学大百科 改訂版」
犬の鑑札、注射済票について|厚生労働省
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