添加物って体に悪いイメージだけど、どのくらい体に悪いの?
長生きして欲しいからなんとなく、添加物が多そうな海外のフードはあげていない。
いま私があげているフードって大丈夫なのかな?
と思っているあなたのお悩みを解決します。
私は、愛犬も自分自身も添加物をさけて食事をしています。
たくさんの論文や専門書を読み漁り、添加物のセミナーに参加した結果、添加物が犬の体にいいわけない。と思ったからです。
犬の管理栄養士と上級食育アドバイザーである私が、添加物のリスクや種類、目的などをイラストを使っておはなししていきます。
「ドッグフードの添加物がよくないらしいけど、もうちょっとくわしく知りたい。」
と思っているあなたがこの記事を読み終えるころには、添加物がどのくらい犬の体に悪いのかが知れて、モヤモヤした気持ちがスッキリします。
あなたがいまあげているフードに、どのくらい添加物がはいっているのかを調べる方法もお話ししますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
ではさっそく、結論からみてみましょう。
ドッグフードの添加物ってどのくらい体に悪いの?:大量はキケン
犬に毎日大量に添加物を与えると、肝臓や腎臓などが傷つき、臓器のはたらきが低下します。(参考:食品酸化防止剤の毒性および代謝について))
最悪の場合、すべての臓器が機能不全になり、亡くなってしまうことが多くの実験でわかっています。
ただし、「毎日、大量に与えた場合」です。
実験では、ドッグフード1食分に含まれる添加物の10〜200倍多い量を注射を使って投与したりします。
そのため、フードに含まれている少量の添加物で命のキケンになることはありません。
「ってことは体に悪くないってこと?」
それもすこし違います。
まずは、添加物をとるとどうなるのか、体で起きることや知っておきたいリスクを見ていきましょう。
添加物のリスク1:肝臓がつかれる
肝臓には、がんのもとになる物質や添加物、アルコール、老廃物などの「体にとっては毒となるもの」を無害のものに変える力があります。
肝臓からすると添加物は、お酒やお薬と同じ「有害物質」です。
毎日お酒をのむのが体に悪いように、毎日添加物を含むフードを食べることは、確実に体の負担になります。
じつは、お肉やお魚を食べるたびにも毒素は発生します。
お肉やお魚の毒素は肝臓にとっては想定内なので、あまり問題ではありません。
ですが、ドッグフードの場合、”お肉類の毒素”+”添加物の毒素”のダブルパンチを肝臓にあたえることになります。
おやつにジャーキーやガムなどがはいってくると、もう肝臓はヘトヘトです。
肝臓を使いすぎると無毒化する力が衰え、肝臓病や肝性脳症などを引き起こしやすくなります。
2020年に、保険会社のアニコムが549,954頭の犬を対象に病気の統計を調べたデータでは、全体の25.9%の約142,438頭が肝臓疾患を含めた消化器系疾患を患っていることがわかっています。(参考:家庭どうぶつ白書|ペットの相談)
犬の病気の中でもっとも多い割合を占めています。
つまり、食べものを消化する臓器に負担がかかっている犬が多い。ということが読み取れます。
消化器系の病気のリスクを減らすためにも、肝臓を疲れさせない食生活を意識することが大切です。
ちなみに、肝臓を疲れさせる存在は添加物と食事以外にもあります。
添加物と食事以外で肝臓を疲れさせるもの
ワクチンを打った日のおしっこの黄色が濃く、匂いがキツいと感じたことはありませんか?
それは、体内に入ってきた大量の有害物質を肝臓が必死に無毒化して、おしっことして体の外に出してくれた証拠です。
絶対に肝臓に負担をかけない!!という生活はできませんが、肝臓へのストレスを知ることで、負担を減らすことはできます。
添加物のリスク2:長い期間与えるとどうなるのかはわかっていない
特定の添加物を犬に与えて「犬にとって安全かどうか」を調べる実験では、1ヶ月、最長でも半年ほど様子や体調をみます。
そのため、犬が一生、毎日添加物をとり続けるとどうなるのかは、だれにもわかりません。
イタイイタイ病や水俣病などの公害病や、たばこによる肺がんや胃がん、森永ヒ素ミルク中毒事件の後遺症も、体にたまった有害物質がもたらしたものです。
体に毒素がたまる、ということを甘く見てはいけません。
私が犬と食品添加物の論文を100ほど読んだ中では、犬にとっての添加物の毒性を調べる実験は、長くても3年です。
10数年生きる犬たちにとって、たった3年の実験に命を預けるのは、リスクが高いと思いました。
添加物のリスク3:組み合わせパターンのリスクが謎
いろいろな添加物をいっしょにとったときや、食品との相性の悪さについては研究されていません。
組み合わさると、発がん性をもつ物質に変わることもあります。
たとえば、
お肉の栄養素と亜硝酸ナトリウムが組み合わさると、発がん性のある物質に変化します。
この構図で身近なのは、ハムやベーコン、ソーセージ、ビーフジャーキー、ドッグフード(亜硝酸ナトリウムを含んでいる場合)などです。
世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は、ハムやベーコンをたばこと同じグループ1(人に対して発がん性がある)に属しています。
つまり、お肉と亜硝酸ナトリウムをいっしょに食べることは、がんを引き寄せる。と認めているということです。
「人間にとって発がん性があるってだけで、犬のがんは作らないんじゃない?」
私もそう思いました。
調べてみると、お肉と亜硝酸ナトリウムをとると犬ががんになる。というデータはありませんでした。(2021/07/25現在)
ただ、乳がんや心臓病になった犬は、亜硝酸ナトリウムの濃度が高かった。ということが報告されています。
(参考:Serum nitrate and nitrite in dogs with spontaneous cardiac disease)
(参考:Oxidative stress and inflammatory response biomarkers in dogs with mammary carcinoma)
私は、亜硝酸ナトリウムと犬のがんになにかしら関係があるのでは?と思っています。
なんでこんなにこわい添加物をドッグフードに使っているの?
それにはきちんと理由があります。
ドッグフードに添加物を使うわけ
- 食品が劣化して有害物質になるのをとめる
- 菌が繁殖しないようにする
- 色味をつける
- 長持ちさせるため
- 栄養素をプラスするため
- 味付けのため
- コストをおさえるため
目的は1つではありません。
もし添加物がなければ食中毒になる犬が増え、災害時には食糧難になり、飢餓や栄養失調になる犬たちがたくさんでてきます。
また、フード代が一気に値上がりし、人間の食品よりも高くなってしまう可能性もあります。
添加物には、いい面もあれば悪い面もあります。
それを知った上で、どうやって付き合うかが大切です。
ドッグフードの添加物を見分ける方法
あなたが選んだドッグフードに、どのくらい添加物がはいっているかをチェックしていきましょう。
1.フードのパッケージから原材料をさがそう!
まず、ドッグフードの裏や横をみましょう。
消費期限や1食分のカロリーの近くに「原材料」とかかれている、表のようなものがあると思います。
それが原材料表示といい、「このドッグフードは、この食材で作られました」という欄です。
2.食べものをみつけよう!
原材料の前半には、チキン、とうもろこしなどの食べものの名前が書かれていると思います。
あなたが、「うーん、見たことないなぁ。」と思う名前をみつけましょう。
だいたい後半になるにつれ、知らないものに変わっているはずです。
それらが添加物です。
3.みわけかた
添加物かどうかのみわけかたは、スーパーにあるか、ないか。です。
添加物はスーパーには売っていませんよね。
あまりスーパーにいかない人は、想像できるかどうかで判断しましょう。
たとえば、鶏肉と聞くとにわとりのお肉が想像できますよね。
BHAと聞くと、どんな形かどんな色が想像できないですよね。
ためしに、私が以前あげていたニュートロのシュプレモ小型犬用の原材料をみてみましょう。
前半の〇〇ミールやビートパルプ、タンパク加水分解物のくわしい解説は、別の記事でおはなししています。(さいごの方に解説記事貼ってあります^^)
つぎは、人気の高いプリスクリプションのダイエット w/d ダブリューディー チキンをみていきます。
こちらのフードは、食材よりも添加物の方が多いですね。
添加物が多いフードはダメ。ということはありませんが、毎日は避けたいです。
このフードには、これだけの添加物が使われているんだ。と知るだけでも全然違いますよね。
まずはひっくり返して原材料をみる。というクセをつけると、愛犬の体にとっていい選択なのかが、自分で判断できるようになります。
添加物のルールや量に決まりってあるの?:おおまかにあります
愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)という法律があります。
内容は結構おおざっぱです。
ルール1.指定された4つの添加物には量に制限がある
- エトキシキン
- BHA
- BHT
- 亜硝酸ナトリウム
上記の4つの添加物は危険性が高いので、これ以上の量はいれないでね。という決まりがあります。
犬にあげても体に異変がなかった量を調べた結果をもとに量が設定されています。
4つの添加物ってどのくらいキケンなの?
4つの添加物で症状が違いますが、おおまかには、犬に大量にあげると臓器の障害、がんのリスクアップ、アレルギー反応がみられたことがわかっています。(参考:Ethoxyquin: An Antioxidant Used in Animal Feed)
これ以外の添加物は、なにをどのくらい使ってもOKです。
ルール2.あきらかに有害な原材料はつかっちゃダメ
あたりまえですが、毒や病気になっている食材は使ってはいけないことになっています。
これは、添加物というよりは毒物です。
これはダメ!これはダメ!という決まりはなく、「あきらかにキケンなものはいれないでね」と、ぼんやりした規制です。
ルール3.フードを作る前に使った添加物はかかなくてもOK
フードにいれる前に、お肉に添加物を混ぜたとします。
そのときにいれた添加物は、原材料に書かなくてもいい。という規則です。
獣医専門誌の本澤清治さんが、”フードの原材料を輸入したり運ぶときに、お肉やお魚にエトキシキンをたくさん使う”と言っていたので、原材料表示も信じられないのか、とショックでした。(参考:ペットフード疑似科学を科学する)
飼い主まで届かない情報が多いなぁとすこし悲しくなりました。
結論:添加物を毎日与えるのは健康的ではない
添加物はドッグフードにかならず必要な存在ですが、積極的に体にいれていいものではありません。
体を思いやるためにも、たまには手作りごはんをつくるか、添加物の少ないフードを選ぶことをおすすめします。
解決策1:たまに自分で作ったごはんをあげる
週に2〜3回くらいは手作りごはんを与えたいです。
ドッグフードだけを食べている犬よりも、ドッグフードと手作りごはんを食べている犬の方が1年以上長生きした(Dr Gerad LIPPERT.(2003)『Relation between the domestic dogs’ well-being and life expectancy statistical essay.』)というデータもあります。
なにを与えるかで愛犬との未来が変わるので、この機会に一緒に”手作りごはん”にチャレンジしてみませんか?
↓手作りごはんに必要な知識をまとめているので、気になる方はみてみてください。
「忙しくて時間がないし、いろいろ検索してごはん作るのは手間がかかる。でも、手作りごはんをあげたい」
というあなたは、1食300円からの手作りごはんのレトルトもあるので、チェックしてみてはいかがでしょうか^^
解決策2:具体的に避けたい添加物をみて選ぶ
フードを買う前に裏をみて添加物を意識するだけでも、添加物の量はグッと減ります。
私が危険だと感じた添加物と原材料をまとめているので、ぜひ、ドッグフードを選ぶ時に参考にしてみてください。
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